相続した空き家を放置するとどうなるの?近隣トラブルやリスクを防ぐための心構えとは?

こんにちは。「かつのオフィス」代表で相続診断士の「勝野 隆之(かつの たかゆき)」と申します。

近年、相続によって空き家を取得する方が増えていますが、『空き家をどの様に管理すればよいか分からない』『遠方に住んでいるため定期的な管理を行うことが難しい』と悩まれる方が少なくありません。

しかし、相続した空き家をそのまま放置してしまえば様々なリスクや近隣トラブルを招く危険があり、場合によっては高額な損害賠償請求を受ける可能性もあります。

そこで今回は、空き家を放置した場合に招くリスクや近隣トラブル、トラブル防止のための心構えなどについて具体的な事例を挙げながら詳しく解説します。

空き家を放置するのは危険!

超高齢化社会が進む日本では、相続によって空き家を取得するケースが増えており、誰もが空き家問題の当事者となる可能性を秘めています。

しかし、『空き家をどの様に管理してよいか分からない』『遠方に住んでいるため定期的な管理を行うことが難しい』といった理由から空き家を放置されている方も少なくはなく、結果として様々なトラブルを招くこともあります。

ここでは、空き家を放置した場合に起こるリスクや近隣トラブルの事例、トラブル防止に向けた心構えなどについて詳しく解説します。

①家屋の劣化や倒壊などによる損害賠償

長年にわたり空き家を放置してしまった場合、家屋の劣化や倒壊によって高額な損害賠償請求を受けることがあります。

たとえば、空き家を放置することで起こるトラブルには次の様な事例を挙げることができます。

◯劣化した屋根瓦が崩れ、たまたま近くを歩いていた方を怪我させてしまった
◯ブロック塀が倒壊してしまい、近隣に住む子どもが下敷きになってしまった
◯積雪によって家屋が倒壊してしまい、近隣家屋の一部を巻き込む形で倒壊させてしまった

そして、民法第717条【土地の工作物等の占有者及び所有者の責任】では、次の様に規定されています。

1.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2.前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3.前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

相続した空き家を賃貸などに回していた場合、こうしたトラブルの一次的な責任は占有者である借主の方が負うこととなります。

しかし、借主の方がトラブルを防ぐために必要な対策をしていたケースや、そもそも空き家として放置したままの場合には、家屋の所有者の方が損害を賠償する責任を負います。

現在空き家として放置される家屋で最も多いのは、昭和56年6月1日以前の旧耐震基準に基づいて建築された建物であるため、定期的な管理が行われていない場合には通常の家屋と比較して急速に劣化が進んでいる可能性があり、建物の倒壊等が起これば高額な損害賠償請求を受けることも考えられます。

未然のトラブルを防ぐためにも定期的に家屋に足を運んでメンテナンスを行う、あるいは、自身での管理が難しい場合には、空き家活用の専門家への相談や早期に手放すことも検討すべきです。

②犯罪面のリスクや治安の悪化

空き家を放置した場合には、犯罪面のリスクや治安の悪化などを招くこともあります。

放置された家屋が空き家であることが周囲に知られてしまった場合、違法薬物の受け渡しや不審者・外国人による不法滞在、拉致監禁などの犯罪に利用されてしまう可能性があります。

また、いわゆる“たまり場”や肝試しなどの場所として利用されてしまい、近隣住民の方々へ治安面で迷惑をかけてしまうことも考えられます。

思い出の詰まった家屋が犯罪の温床やトラブルの原因になってしまうのは、とても悲しいことです。

自身の手で適切に空き家の管理を行うことが難しい場合には、勇気を持って空き家を手放すことや賃貸などによって新しい借り手を見つけることもご検討ください。

③不法投棄によるトラブル

長年にわたって放置されている空き家の中には、庭木や雑草が伸び放題になってしまい荒れ地と勘違いされてしまうケースも少なくありません。

この場合、ゴミを捨てても一見目立たないため、不法投棄をしてもバレない場所として認識されてしまう可能性があります。

一度不法投棄が始まってしまえば、あっという間にゴミ屋敷となってしまうことも珍しくはなく、ゴミから発生する悪臭が近隣住民に大きな迷惑を及ぼすことにも繋がります。

また、近年では、空き家や不法投棄されたゴミへの放火・自然発火などが社会的な問題として取り上げられることもあり、発見が遅れてしまった場合には甚大な被害を招くことも考えられます。

◯定期的に自身で空き家の掃除を行う
◯不法投棄を防ぐための立て看板や有刺鉄線などを設置する
◯清掃業者に依頼してゴミや不用品を回収してもらう

近隣住民との不要なトラブルを避けるためにも、以上の様な対策をしっかりと立てることが必要となります。

④害虫や害獣によるトラブル

換気が不十分でジメジメとした家屋や不法投棄されたゴミが堆積した空き家は、害虫や害獣にとって住みやすい環境となりトラブルを招くことがあります。

たとえば、長期間にわたって水道を使用しなかった場合には、ゴキブリ、ハエ、ネズミなどが下水管から家屋内に入り込むことが考えられ、ふん尿によって家屋の劣化が進む他、こうした害虫達が近隣住民の住まいに侵入して害を及ぼす可能性があります。

また、シロアリが侵入した場合には、家屋の耐久性に影響を及ぼすまで柱や梁などが食べられてしまい、資産価値を大きく下げてしまうこともあります。

この様なトラブルを防ぐためには、家屋の換気や庭木の剪定、敷地内のゴミの片付けなど、定期的に空き家へと足を運びメンテナンスを行う必要があります。

遠方に住んでおり空き家まで通うことが難しい、長期間にわたり足を運ぶことができないといった場合には、近くに住む親族などに管理を任せる、あるいは、不動産取引や空き家活用の専門家への相談も前向きにご検討ください。

空き家の管理や活用でお困りの場合には、是非当オフィスへご相談ください!

今回は、空き家を放置した場合に招くリスクや近隣トラブル、トラブル防止のための心構えなどについて解説しました。

相続によって取得した空き家の管理や活用に頭を悩ませる方が多くいますが、近隣住民の方々とのトラブルや高額な損害賠償請求を受けるリスクなど、空き家を放置することには“百害あって一利なし”です。

定期的に自身で空き家のメンテナンスを行うことはもちろん、場合によっては空き家を手放したり賃貸などに回すことも考えなければなりません。

一方で、相続した空き家問題について誰に相談してよいか分からない、思い出の詰まった空き家を有効活用したいものの方法が分からないと悩まれる方も多いのではないのでしょうか。

当オフィスでは、豊川市、豊橋市を中心の東三河に根差して、空き家問題に関するご相談を受け付けております。

どんな些細なお悩みでも構いませんので、空き家を相続された場合には是非当オフィスへご相談ください!